初心者のためのワイン知識 基本の『き』

―――――ここは、とあるワインショップ。
ワインショップ新人スタッフ『マキちゃん』入社の日です。

今日はオーナーが、ワインについてレクチャーしている様子。

オーナー
オーナー
ところで、マキちゃんは普段ワインは飲むの?
新人マキちゃん
新人マキちゃん
はい!でも、詳しくはよく分からないので、スーパーで目にとまったワインを適当に買ったり、たまにワイン屋さんに行ってお店のオススメワインを買ったりしてます。
スーパーで何となく選んだワインは、帰って飲んでみたら全然好みじゃなくて失敗することも・・・。
オーナー
オーナー
それは残念。
だけど、ワインを選ぶときにちょっとコツを知ってるだけで、ワイン選びの失敗はグンと減るし、好みのワインを選びやすくなって今よりも美味しくワインが飲めるようになると思うよ。
新人マキちゃん
新人マキちゃん
本当ですか、オーナー!!
私、好みのワインが選べるようになりたいです!ワインの知識、教えてくださいっっ

このページをご覧のあなたも、マキちゃんと似たような経験はありませんか?
せっかくワインを飲むのなら、自分が美味しいと思えるワインが飲みたいですよね。

というわけで今回は、すっかりやる気になった新人マキちゃんが
オーナーから『ワインって何?』から『ワインの種類』まで、ワインの基本を学びます。

マキちゃんと一緒にちょっぴりワインがわかる人になりましょう。

そもそもワインとはどんなお酒なのか?

オーナー
オーナー
ところで、マキちゃん。ワインってどんなお酒か知ってるかな?
新人マキちゃん
新人マキちゃん
オーナー、さすがにそれくらい知ってますよ!
オーナー
オーナー
じゃあ、ワインの主な原材料はわかる?
新人マキちゃん
新人マキちゃん
それはもちろん、ブドウですよね。あとは、えぇっと・・・水、とか?
オーナー
オーナー
残念。ワインに水は入っていないんだよ。

日本酒や、ビールなんかの場合、原料となる穀物に水を加えて作っていきますが
ワインは基本的にはブドウの果実に含まれる水分しか使いません
そして、ブドウの糖分を直接発酵させるから余計なものもほとんど加えない。

だから、ワインはブドウの品質が味わいに直結する、とてもシンプルな飲み物なんです。

ちなみにワインの中身を数値的に見てみるとこんな感じ。

ワイン100mlあたりのカロリー:約73kcal
ワイン1本750mlあたりに必要な葡萄:約1kg
ワインのアルコール度数:約5~15%

ワインのアルコール度数をほかのお酒に例えると、だいたいビール程度の5度から日本酒程度の15度くらいまで。
ブドウ品種やワインの造り方によって、味も香りも様々なワインが造られています。

ワインのタイプによる違い

ワインを分類するとき、最もわかりやすいのが色による分類。
ここでは、赤、白、ロゼ、スパークリングワインの4つのバリエーションについて解説します。

赤ワイン

赤ワインは、果皮の黒い「黒ブドウ」系の品種を使って造られているワインです。醸造するときに、果皮や種も一緒に発酵させることで皮に含まれる色素が溶け出して鮮やかな赤いワインが出来上がります。

この果皮や種には、タンニンという渋み成分が含まれるので赤ワインには特有の渋みが生まれます。

赤ワイン

ところで「ボルドー」や「ブルゴーニュ」という言葉を聞いたことはありませんか?

これは2つともフランスの地名。
「ボルドー」で造られるワインは一般的に濃い色合いと力強い香り、
しっかりとしたタンニンを感じられフルボディと表現されることの多いワインです。
また、ボルドー地方と同じ黒ブドウの品種を使うワインは、俗に「ボルドータイプ」と呼ばれています。

一方、「ブルゴーニュ」で造られるワインは、一般的に明るい色合いで、繊細な香りと酸味が特徴。
こちらも同じくブルゴーニュ地方と同じ品種(主にピノノワールっていうブドウを使っています)
を使うワインは「ブルゴーニュタイプ」と呼ばれています。

白ワイン

白ワインは、主に果皮の色が薄い「白ブドウ」系の品種を使って造られているワインです。
ごく稀に、「黒ブドウ」系の品種を使っている白ワインも存在します。

白ワインに、赤ワインのような渋みをあまり感じないのは、ワインを醸造する際に、渋みの基となるタンニンを含む種や果皮を使わずに造られているからです。

よく、『牡蠣にはシャブリ』と言われるようなキリッと酸味の効いた辛口ワインから、食後のデザートにぴったりのトロリととろける甘口のデザートワインまでひとくちに白ワインと言っても、甘口から辛口までタイプはさまざまです。

白ワイン

ロゼワイン

可愛らしいピンクの色あいが魅力的なロゼワインは、
見た目の通り甘口タイプから、お食事にもピッタリのキリッと辛口タイプまで造られています。

さて、ロゼワインはどうやって造るのでしょうか。
ここまで赤ワインと白ワインの解説を読むともしかすると

ピンク色の果皮をしたブドウから作るの?

と思ってしまうかもしれませんが、残念ながらそうではありません。

ロゼワインを造る方法は大きく分けて3つ。

ロゼワイン

1赤ワインのようにロゼワインを造る方法

セニエ法と呼ばれる製法で、黒ブドウを皮や種ごと発酵させます。

ただしロゼワインを造る場合は、発酵がある程度すすんで
液体が程よく色づいた段階で、皮や種を取り除いてしまいます。

2白ワインのようにロゼワインを造る方法

直接圧搾法と呼ばれる製法で皮や種は果汁と一緒に発酵させません。

黒ブドウから果汁を絞る際に、自然とピンクに色づき、ロゼワインになります。

3黒ブドウと白ブドウを混ぜてロゼワインを造る方法

混醸法と呼ばれる製法で、黒ブドウと白ブドウを混ぜて醸造し
途中からは1のセニエ法と同じく皮や種を取り除いてロゼワインを造ります。

オーナー
オーナー
ただし、ヨーロッパではスパークリングワインを造る場合に限って赤ワインと白ワインを混ぜることが認められている地域もあるよ。

スパークリングワイン

赤・白・ロゼワインまでは色の違いでしたがこのスパークリングワインだけは特別。

ワインを造る過程で炭酸ガスを発生(または注入)させてあの爽快なシュワシュワ感を作りだしたワインです。

スパークリング

そしてスパークリングワインの中でも有名なものと言えばやっぱりシャンパンですよね。

新人マキちゃん
新人マキちゃん
シュワシュワしたワインは全部シャンパンだと思ってました!
オーナー
オーナー
もちろんシャンパンも、スパークリングワインの仲間だけど
フランスのシャンパーニュ地方で造られたスパークリングワインだけがシャンパン(シャンパーニュ)と名乗ることができるんだよ。

スパークリングワインは、単純に発泡しているというだけでなく、白・ロゼ・赤とバラエティに富んだカラーと、甘口から辛口までつくられる味わいの深さが魅力。

その華やかさからパーティの席にも使用され、たくさんの人に楽しまれています。

ワインのブドウ品種による違い

ワインを造るために使用されるブドウは、私たちが普段スーパーで買っている生食用のブドウとは違う、ワイン用のブドウ品種を使うことが一般的です。

新人マキちゃん
新人マキちゃん
ワイン用のブドウ品種は、私たちのよく知っているマスカットや巨峰とは何が違うんですか?
オーナー
オーナー
一般的に、ワイン用のブドウは皮が厚くて種も大きいんだ。また、小粒で酸味や甘味も強い。
だから、ワインになったときに凝縮した味わいや皮の成分に由来するしっかりとした渋みを感じることができるんだね。

さらに、それぞれのブドウ品種によって個性の違うワインができあがります。

代表的なブドウ品種からできるワインの個性

黒ブドウ

黒ブドウは、赤ワインを造るのに使われるブドウ品種で果皮の色が濃い紫色をしています。ワインを造る際、果皮の色が果汁に移り、赤ワインらしい鮮やかな色が生まれます。

ワインに使用される黒ブドウ

  • カベルネソーヴィニヨン
    世界で最も有名なブドウ品種のひとつであり、フランス・ボルドー地方の代表的な赤ワイン用品種。しっかりとしたタンニンと酸味のある力強い味わい。
  • メルロー
    フランス・ボルドー地方で使用され、カベルネソーヴィニヨンとともにブレンドされることの多い赤ワイン用品種。カベルネソーヴィニヨンに比べると、タンニンは穏やかでまろやかな味わい。
  • ピノノワール
    フランス・ブルゴーニュ地方で多く使用されている赤ワイン用品種。栽培や醸造が難しく繊細な品種ですが、しっかりとした酸味と比較的軽い飲み口、優しいタンニンでワイン初心者でも飲みやすいものが多いです。
  • シラー(シラーズ)
    フランス・ローヌ地方で長く造られている赤ワイン用品種。オーストラリアで栽培されているものはその独特の味わいから『シラーズ』と呼ばれています。しっかりとしたタンニンで力強くスパイシーな印象。

白ブドウ

白ブドウという名前ですが、真っ白ではなく果実は黄緑色。品種によっては、薄いピンク色をしたブドウも。

ワインに使用される白ブドウ

  • シャルドネ
    ブルゴーニュの白ワイン用品種ですが、今では世界中で栽培されており、辛口の白ワイン用葡萄としては、最も人気が高い。産地や気候の違いで様々な味わいに変化します。シャンパーニュの原料としても。
  • リースリング
    ドイツワインの代表品種。美しい酸味を持ち、繊細で上品な香りと口当りを持ち味にしています。味わいは辛口から極甘口まで多彩で、いずれもバランスのとれたワインが生まれるため、世界各地で栽培されています。
  • ソーヴィニヨンブラン
    ボルドー地方やロワール地方を代表する品種。青草を思わせる独特な香りを持ち、味わいも個性的。フュメ・ブラン種とも呼ばれています。最近は、ニュージーランドでも多く造られています。

ワインの産地による違い

ワインは、世界各国で造られているお酒ですが、その個性は造られる国や地域によってまったく違ってきます。

一般的に、暖かい地域では果実の凝縮したフルボディタイプのワイン、涼しい地域では酸味のしっかり感じられる繊細なワインになることが多いです。

主な産地別ワインの特徴

国名 産地の特徴
フランス

ワイン王国・フランスにはボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュなどワインにあまり詳しくなくても知っている銘醸地が多いのではないでしょうか。

生産地域によって、ワインに使用できる品種や栽培方法などが法律で決められており、地域ごとに個性のあるワインを造り出しています。

イタリア

ワイン生産量は世界でも一位二位を争うイタリアは、すべての州でワインが造られています。
各州ごとに気候も違えば地形も違う。ブドウだって、その土地独特の固有品種が多種多様に存在し、個性的なワインを生み出します。

スペイン

フランス、イタリアとならぶワイン大国スペインは、太陽をいっぱいに浴びた果実味豊かで力強いワインが造られています。それだけでなく、スペイン産スパークリングワインであるカヴァや
独特の味わいの酒精強化ワイン、シェリーなど多彩な魅力がいっぱいです。

ドイツ

ドイツワインの生産量は約6割が白ワイン。

少し昔のイメージではドイツワインといえば甘口の白ワインでしたが、最近は、きりっと辛口の白ワインや上質な赤ワインも造られています。

アメリカ

ワイン生産量世界4位。なかでもカリフォルニア州はアメリカワイン生産量の約9割を占めるワイン産地。特に果実味の凝縮した高級ワインが数多く生産されているナパヴァレーが有名です。

アメリカで意外なところでは、大都会の印象が強いニューヨーク州も立派なワイン産地です。

チリ

チリワインといえば、最近は「安くて旨い」の代表選手のような存在。それも日本-チリ間の経済連携協定 によって関税が削減されているから。

ですが、チリワインは安いだけではなく、その恵まれた環境から果実味と凝縮感のあるワインが造られていて、近年では外国の有名ワイナリーがチリに進出し、高品質なワインを生産しています。

オーストラリア

オーストラリアはその広大な面積でバラエティに富んだワインを造っている国。なかでもシラーズで造られる赤ワインが有名で、スパイシーで力強い味わいが特徴的。

ニュージ-ランド

ニュージーランドは比較的涼しいワイン産地で、赤ワインよりも白ワインの生産が多い国。

代名詞ともいえるのがソーヴィニヨンブランから造られる白ワインで、ニュージーランド特有のハーブや草原をイメージさせるような爽やかなワインです。

新世界ワインと旧世界ワインって何?

新世界(またはニューワールド)という言葉を聞いたことがありますか?

新世界とは、15世紀半ばから17世紀半ばまで続いた大航海時代のヨーロッパの国々から見た新天地のこと。そしてニューワールドワインとはそれ以降に発展していった地域で造られたワインです。

新世界のワイン産地 アルゼンチン、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、南アフリカ、チリなど
旧世界のワイン産地 フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、オーストリアなど

古くからワインを生産していた旧世界のワインは、主に食事とともに楽しむ飲み物として、ワインは主張しすぎないものでした。

対して、一般的な新世界のワイン産地は温暖な気候にあったため、果実の凝縮した香りやしっかりとした味わいなど、旧世界とは違ったタイプのワインが多く生み出されました。

とはいえ、近年ではニューワールドと呼ばれる国であってもワインと食事との相性を考えたワインや、あえて涼しい地区のブドウを使って造られたワインなど『ニューワールドのワイン=凝縮感』といったとらえ方はできなくなっています。

ヴィンテージによる違い

オーナー
オーナー
ところで「ヴィンテージ」ってどういう意味か知ってるかな?
新人マキちゃん
新人マキちゃん
よく年代物の家具とかジーンズに「ヴィンテージ」っていう言葉を使うから『古い』って意味じゃないですか?
オーナー
オーナー
もちろんそういう使い方をすることもあるけど、ワインの場合は、ブドウの収穫年のことをヴィンテージって呼ぶんだよ。

ワインに使用しているブドウは農作物。その年の天候がワインの味わいに大きく影響してくるからおなじ生産者のワインでもヴィンテージによって味に違いが出てきます。同じ銘柄のワインでも、その年ごとの味わいの違いを楽しむこともワインの楽しみの一つ。

生産した年ごとの違いを楽しむのとは反対に、品質を一定に保つためにあえて複数の年のワインを混ぜて『ノン・ヴィンテージ(Non Vintage、NVとも表記される)』ワインを造る場合もあります。

古いヴィンテージのワイン=良いワインなの?

ワインにはそれぞれ飲み頃が存在します。

たとえば、ボジョレーヌーヴォーのような新酒は、その年収穫したワインをすぐに楽しむためのワイン。そのため、何年も保管しておくと新酒の良さであるフレッシュさを十分に楽しむことができなくなってしまいます。

反対に、何年もの熟成を経てそのワインの魅力が開花するようなワインも存在し、そういった長期熟成型のワインには、飲み頃まで待つ楽しみも。

古いヴィンテージのワインが良いワインというわけでなく、飲む人の好みがどういったワインかでも飲み頃は変わってきます。

まずはここからはじめよう。ビギナー向けおすすめワイン6選

最後に、今回は『ワインの基本』ということで、
まずはワインの味わいの違いを感じられる6本のおすすめワインをご紹介します。

おすすめ赤ワイン2種

フルボディのしっかり赤ワイン

メドック レゼルブ スペシアル ドメーヌ バロン ド ロートシルト

ボルドー五大シャトーに名を連ねるシャトー ラフィット ロートシルトのグループワイナリー、ドメーヌ バロン ド ロートシルトの1本。

スパイスを感じさせる複雑なアロマと豊かな酸味と構成力をそなえたタンニン。黒胡椒を連想させる複雑味のあるフィニッシュへとつながります。[輸入元資料より]

ミディアムボディの軽やか赤ワイン

フェヴレ ブルゴーニュ ピノノワール

ブルゴーニュの地で7代続く大ドメーヌ、フェヴレがつくるベーシックワイン。

輝きのある美しいルビー色。ラズベリーやグロゼイユ(赤スグリ)など、赤い果実を思い起こさせる、典型的なブルゴーニュ・ピノ・ノワールのアロマ。全体的に調和がとれ、チャーミングなフィニッシュ。[輸入元資料より]

おすすめ白ワイン2種

すっきり辛口白ワイン

シャントレーヴ ブルゴーニュ シャルドネ

日本人女性醸造家、栗山朋子さんがフランスで手掛けるセンスの光る1本。

グレープフルーツを思わせる爽やかな柑橘系の香りに、白桃のような果実感。酸味のバランスもよく、ソフトなタッチで、アフターに冷涼感溢れるミネラルの風味。てんぷらや寿司など、和食に合いそうな白ワイン。[輸入元資料より]

優しい甘さの白ワイン

ヨアヒム・フリック ホッホハイマー ケーニギン・ヴィクトリアベルク リースリング カビネット エアステ・ラーゲ

かのヴィクトリア女王が虜に♪自らの名前を与えたドイツの銘醸畑の優しい1本。

トロピカル・フルーツの香りがたっぷり詰まった、銘醸畑のリースリング カビネット。ミネラル感のあるやさしい甘味が、心地よくグラスが進みます。[輸入元資料より]

おすすめロゼワイン

すっきり辛口ロゼワイン

シャトー サン ミッシェル コロンビア ヴァレー ロゼ

アメリカ・ワシントン州を代表するワイナリーが造るロゼワイン。

明るく淡いピンクが特徴的な、エレガントで辛口のスタイルのロゼ。スイカ、ラズベリー、レモンのアロマがあり、活き活きとした酸と、口に含むとイチゴや柑橘類の皮のニュアンス、メロンをほのかに感じます。[輸入元資料より]

おすすめスパークリングワイン

爽やか辛口スパークリング

ドメーヌ・サン・ヴァンサン ブリュット

高品質なシャンパーニュを造り続けるフランスのシャンパン・ファミリー『グリュエ』がアメリカ・ニューメキシコ州で造る1本。

爽やかな風味が食欲をそそり、気軽に楽しめるスタイル。[輸入元資料より]